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📕「雪の鉄樹」遠田潤子(#1886)


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遠田さん、初読み作家さんですが
なんというか、心にズンとくるというか、
まー、すごいわ。
暗いわ。
なのに読むのをやめられない。
主人公の心情や、都度の情景が丁寧に描き込まれて
重いストーリーながらグイグイ引き込まれていきました。
サスペンスでもあり、人間ドラマでもあるのですが
ワタシは究極のラブストーリーだと思いました。

ともかく、読んでいて楽しくはないのにクセになるというか
本を閉じた途端、他の遠田作品を読みたくなりました。


祖父と父が日々女を連れ込む、通称・たらしの家で育った庭師の雅雪は、
二十歳のころから13年間、両親のいない少年・遼平の面倒を見続けている。
遼平の祖母から屈辱的な扱いを受けつつも、
その傍に居るのは、ある事件の贖罪のためだった。
雅雪の隠してきた過去に気づいた遼平は、
雅雪を恨むようになるが・・・。
愛と憎しみの連鎖の果てに、人間の再生を描く衝撃作。
(文庫版表紙カバーから)


たらしの家?
扇の家?
火傷?
いろんなキーワードが出てくるのですが
それがどう繋がってるのか全然わからない。
わからないから、知りたい。
どんどんページを繰るわけですよ。
物語が動くのは半分ほど読み終えた頃。
雅雪が遼平に告白する形で真相が明らかになるのですが、辛い。

こんな贖罪って。
こんな愛し方って。
なんでここまで憎まれても耐えなくてはならないのか。
雅雪が償う必要などまったくないのに
あまりにも不器用過ぎてイライラもさせられます。
彼の献身や贖罪はただの自己満足。
遼平を甘やかせるだけという原田や細木老の言うことがよく分かる。
でも雅雪はこういう生き方しかできないんですね。

それは、祖父を親方と呼び、父を俊夫さんと呼ぶのが当たり前の、
救いようのない人物の中で愛を知らないまま育てられたから。
その間違いを気づかせてくれた人をただ守りたい一心。

これでもやもやのまま終わったらどうしようと思ったけど
よかった、よかった。

『はじめて人前で泣いた。
犬でよかった、阿呆でよかった、と思った。』
ラストのこの一文で救われました。
遼平にも幸せになってほしい。



おまけ:
庭師としてのお話は興味深く面白い。
仏像拝観だけの寺社巡りではなく
庭のことももっと知りたくなりました。

因みに、鉄樹とはソテツのことだそうです。


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by norimaki24 | 2018-10-15 21:00 | BOOK | Comments(0)

好きなことだけ全力投球「読書と旅とBIGBANG」を合言葉に日々の出来事を綴ります。旧ブログはhttp://non2.exblog.jp/


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