📕「悲素(上・下)」帚木蓬生(#1856)


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和歌山カレー事件の犠牲者・被害者の方々に本書を捧げる。


冒頭にあるように、本書は和歌山カレー事件を元にした小説です。
日本中を騒がせたこの事件
毎日毎日ワイドショーで取り上げられ
林真須美(本書では小林真由美)が報道陣にホースで水をかけたりしたのをよく覚えています。

偶然にも昨日は事件発生からちょうど20年目でした。
夕刊には現在の林死刑囚の手紙の一部が掲載されていました。
それによると、オウム事件の死刑囚の刑執行に触れ
「次は私ではないかと思うと、食事も喉を通りません。
私は無実です」と訴えているのだそう。
一命をとりとめた被害者の方々は20年たった今も
恐ろしくてカレーを口に出来ないというのに
なんともはや。。。です。

本書を読みながらカレー事件以前の保険金詐取の手口にも改めて驚愕しました。
次々と周囲の人間に保険金をかけては砒素と睡眠薬で殺害、あるいは高度障害を企む。
人はここまでやることができるのかと。
これがフィクションでないところが怖いです。

終始、まるでドキュメンタリーを読んでいるような印象でした。
難解な医学用語、化学用語がオンパレードだったにもかかわらず
とても読みやすかったし、全然苦になりませんでした。
沢井教授の一人称で淡々と事件を語る手法がよりリアルで、
おもしろかった!というには語弊がありますが
間違いなくグイグイと引き込まれてしまいました。
そして、ガツンと衝撃でした。

犯人逮捕の裏には、不眠不休で臨んだ和歌山県警の警察官、
そして砒素の毒性を証明しようとする、沢井教授を始めとする九大チーム。
彼らの努力なくして事件解決はあり得ませんでした。
ただただ、すごい。
そしてここまで読み応えある作品とした箒木さんもすごい。

今日も残りの死刑囚の刑が執行されたオウム事件は記憶に新しいところですが
一躍有名になったサリンをはじめ、スモン病とかキノホルムとか
砒素以外の毒について記載されたサイドストーリーも
一つ一つがとても印象に残りました。

ラスト近くの県警の光山刑事の手紙も感動的でした。


結局、カレー事件の概要は解明されたものの、動機については未だに明らかにされていません。
ひょっとしたら、沢井教授が言うように、毒を盛るのをやめられない自走状態。。。
犯人は「毒」に取り憑かれてしまったのだろう、というのが一番しっくり来る。



上下巻とボリューミーですが読んで良かったです。
無駄に多発ニューロパチーとミース線が頭にインプットされ忘れられなくなりそう😂



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Commented by shilave at 2018-07-26 20:29
この事件のことを改めて、
というか裏まで初めて知った気がしました。
あれだけのことをしておきながら
悔い改めることなく
厚かましくも無実を訴え続けてるなんて
しかも我が子には優しい母だなんて

事件当時、歩くのさえ覚束ないダンナに肩を貸してる姿に、

ダンナにも盛ったんかい‼️

と思いましたわ

救いようがない。
Commented by norimaki24 at 2018-07-26 20:42
> shilaveさん
ほんと、私も同じこと思ったよ。
カレー事件はまだしも、その前の保険金詐欺についてはここまで知らなかった気がする。
てか、忘れてたのかもだけど。
もう一つ驚いたのはあの時まだ38歳だったなんて。
なんだかものすごいおばちゃんのイメージだったわ。
見かけから?(^_^;)

ダンナ、あそこまでされときながら今でも真須美は殺ってないと思うってどんだけよ~

マハさんのあれは読まないと思います(^O^;)
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by norimaki24 | 2018-07-26 20:13 | BOOK | Comments(2)

好きなことだけ全力投球「読書と旅とBIGBANG」を合言葉に日々の出来事を綴ります。旧ブログはhttp://non2.exblog.jp/


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