📕「十字架」重松清(#1844)


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いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、
僕の名前が書かれていた。
あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。
でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。
あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう。
そして、のこされた家族は、
僕のことを許してくれるだろうか。
吉川英治文学賞受賞作。
(文庫版表紙カバー裏から)




いじめを止めなかった、ただ見ていただけでも罪になるのか・・・
何もしなかった罪というのは、法律にはない。
でも、何もしなかったことへの後悔はある。
その後悔にさいなまれ続けた二人の男女の
14歳から34歳までの思いが淡々と描かれています。

自分が次のターゲットとなることを恐れるため
クラス全員が彼を「いけにえ」にした。
そりゃ、まずいよ。
見殺しだよ。
言うのは簡単だけれど、もし自分がそのクラスの一員だとしたら?
あるいは、その子たちの親だったら?
自信を持って、
いじめている子に立ち向かいなさい。
たった一人でも、いじめられている子を助けてあげなさい。
そう言い切れるだろうか・・・自問
正直、関わり合うな、見て見ぬふりをと言ってしまうに違いない。
それでも加担したことになるのだろうか。

「親友になってくれてありがとう」と遺書に書かれた真田裕は、
本人の意志とは全く関係なく、(かってに)親友にされたことにより
自殺したフジシュンの弟や父親からは
親友なのになぜ・・・と責められる。

また、「迷惑かけてごめんなさい」と謝られた中川小百合は
自殺の前日、いきなりの誕生日プレゼントを拒絶したことを言い出せないでいる。
もし、受け取ってくれていたなら、と攻められる場面では
一方的に思いを寄せられていただけなのに
え、そこ言うのかなぁという思いでした。
2人が背負った十字架はあまりにも重すぎるような気がしました。

もちろん一番つらいのは残された家族だってことは百も承知だけど
いじめの兆候に気付いてあげられなかった家族だって・・・
そして、2人の親たちはどんな思いだったのだろう。
そのあたりはまったく描かれていないので気になりました。

とまぁ、読みながらああでもない、こうでもないと
深く考えさせるお話でした。


ラストは結局「時」に委ねるということなんでしょうか。
登場人物すべての人が背負う十字架ですが
まったく希望のないエンディングではなかったのが救われました。



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Commented by shilave at 2018-06-17 17:08
これも重いテーマですね。
よく似た題材の小林由香「罪人が祈るとき」を
こないだ読んだんですが
いじめの実情には読んでて、この怒りをどう収めようかと。
被害者に肩入れしての最終章、あぁこれは湊かなえパターンかと
個人的に(失敗だったか)と思いましたが
そこにひとを想う心があったのでよかった~

考えても考えても答えは出ないけど、
だから何も考えないで済ませたらだめですよね
自問してじぶんを見つめることも大切やし、、、

昔、もらった某新興宗教の冊子を読んでると(入会はしてません)
娘を殺された遺族が犯人を折伏させて入会させ、
犯人が真人間になって心から詫び、罪を償った云々・・
の話が書かれてありました。
どう転んでも失われた命は戻ってこないけど、死刑で償ったつもりになるより
遺族が許したこのパターンのほうが救われるじゃないかなあと思いました。
あまりない例だと思いますが。

やだ、また長い(-_-;)
Commented by norimaki24 at 2018-06-17 20:44
> shilaveさん
わ、今手元に「罪人・・・」届きました。
てかこれ、キミさんに教えてもらったんだっけ?なんで予約したのか忘れた💦
同じいじめ系だったか、、、なら別のものを読んでからにします(^O^;)

それにしても、いじめのニュースは毎週のように報道されてますがこれってなくならないのね。
でも、私達が中学、高校の頃はここまでではなかった気がする。
なんでこんな世の中になっちまったんだか。
正直無関心なことがそこまで罪になるとは思えない。
自分を守るためでもあるのなら。
こないだの新幹線内での殺傷事件だって、別の女性をかばうために自分が殺されてしまった。
ご家族の気持ちを考えたら、なんで知らん顔できなかったのかって思いはやはりあると思う。

テミスも冤罪がテーマ。
これまた重いテーマですよ。
いじめ、冤罪、虐待、願わくば自分の周りの人がこれらとは永久に無縁なところで生きていてほしい。
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by norimaki24 | 2018-06-17 16:34 | BOOK | Comments(2)

好きなことだけ全力投球「読書と旅とBIGBANG」を合言葉に日々の出来事を綴ります。旧ブログはhttp://non2.exblog.jp/


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