📕「氷の華」天野節子(#1772)


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時代小説が続いたのでここらで好きなミステリーを。
お初読みの天野センセでしたが、いいですねぇ~。
なんだか久しぶりにミステリーの王道を読んだ充実感でした。
ちょっと松本清張っぽくて昭和感漂うのですがさにあらず。
10年前に刊行されたものです。


両親の遺産でセレブな生活を送る専業主婦の恭子ですが、
唯一、子供が出来ない身体であることに
深いコンプレックスを持っています。
そんな恭子の元へ、関口真弓と名乗る女から電話がかかってきます。
夫・隆之の子を身ごもっているから離婚してほしいと。
真弓は高圧的で、不妊症であった恭子を罵り
家の郵便受けに母子手帳のコピーまで入れておくのです。

プライドの高い恭子はどうしても許すことが出来ず
夫が出張中だったのをいいことに真弓を毒殺します。
ところが、何日過ぎても被害者が妊娠していたという事実は報道されません。
やがて、殺したのは本当に夫の愛人だったのか。
実は、嵌められたのではないかと疑心暗鬼に。
その間にも捜査の手は迫ってきて、
ついにベテラン刑事・戸田から任意同行を求められるのです。



本書は最初から犯人がわかっていて
それを刑事がどう見破るのかという犯人vs刑事という図。
戸田刑事の地道な捜査で、恭子はついに観念して自白するのですが
その後も事件は二転、三転。
一体恭子を騙しているのは誰なのか・・・

証言者などの登場人物が多いので
途中で前のページに戻ったりもしましたが
それさえ苦にならないほどのめり込みました。

動機が希薄という気もしないわけではないですが
こういうプライドの高い女性ほど
弱いところをピンポイントでつかれると
精神的なダメージは計り知れないのかも。

実際に恭子のような人っていますよね。
いや、殺人はさすがないだろうけど
自尊心の塊で、全てが自分ペースの価値観だから
そこからはみ出すのが許せない。
こういう生き方ってかなりしんどいことだと思う。
この小説ではそんな恭子の性格が全くブレない所が良い。

たまに、読んでるうちにえ?あらら?ってほど
人格変わっちゃうのがあるんですが
最後まで恭子の高慢さゆえにあのラスト・・・
納得がいきます。

好感を覚える人物が出てこない点が
キャラ読みnorimakiとしてはいかがなもんかでしたけど
それを差し引いても面白かった。
秋の夜長にこんな長編ミステリーはいかがでしょうか?



天野センセ、本書がデビュー作だそう。
しかも、最初は自費出版の形で刊行され、
一年後に単行本で再刊されたそうです。
さらに驚いたことに、還暦過ぎてのデビュー!
う~ん、すごいわ。
ほぼ同世代として無条件で応援したくなります。

近いうちにまた別の作品を読んでみようと思います。



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by norimaki24 | 2017-10-10 20:52 | BOOK | Comments(0)

好きなことだけ全力投球「読書と旅とBIGBANG」を合言葉に日々の出来事を綴ります。旧ブログはhttp://non2.exblog.jp/


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